川崎市岡本太郎美術館 2023年4月29日(土・祝)〜6月25日(日)
足利市立美術館 2023年7月2日(日)〜8月17日(木)
久留米市美術館 2023年8月26日(土)〜10月15日(日)
町立久万美術館 2023年10月21日(土)〜12月24日(日)
碧南市藤井達吉現代美術館 2024年1月5日(金)〜2月25日(日)
非合理的で直接的な経験が表現者にとってかけがえのないモチベーションとなり得ることは確かです。それはある種のの宗教的な体験に似てますが、宗教以前のものであり、宗教のもととなる出来事とも解釈できます。
端的に言えば、自己を超えた、いわく言い難い「何か」へのあこがれや、思慕です。表現者たちはその、「何か」をとらえるべく身を焦がす思いで制作します。それは、宗教の根幹をなす漠とした信仰心の発露ともいえます。しかし、描けば描くほど、作れば作るほど、その「何か」は表現者の手からすり抜け別のものとなり替わってしまいます。そのため、彼らは向こうから「何か」がやってくるのを待つしかありません。本展ではこのような心情を仮に「顕神の夢」と名付けてみました。
ときとして土俗的な印象を与える作品が出来(しゅったい)しますが、それは、近代化により捨承されず根強く残った心情の証しです。このような作品は既存の尺度では、測りきれないものです。かといって、排除するわけにはいきません。現に作品は凄まじい力をもって迫ってきます。ならば、私たちは、作品にふさわしい尺度を学び、鍛えなければなりません。尺度がそぐえば作品は豊かな世界を開示してくれます。また、このような観点から、いわゆるモダニズムの文脈でのみ解釈されていた作品を読み直すことも可能です。優れた作品はすべからく不可知の領域に根ざしていると思われます。
本展は、今までモダニズムの尺度により、零れ落ち、また、十分に評価されなかった作品に光をあてる一方、すでに評価が定まった作品を、新たな、いわば「霊性の尺度」でもって測りなおすことにより、それが持つ豊かな力を再発見、再認識する試みです。
設定した「霊性の尺度」は下記の五つです。
●見神者たち(神的なものとダイレクトな「交流」があり、制作した人たち)
出口王仁三郎、出口なお、岡本天明、金井南龍、宮川隆、三輪洸旗
●幻視の表現者(宗教的なビジョンあるいは、幻視・幻覚を制作のモチベーションとした作家たち) 古賀春江、河野通勢、村山槐多、関根正二、萬鉄五郎、高橋忠彌、三輪田俊
助、藤山ハン、麟太郎、齋藤隆、八島正 明、庄司朝美、内田あぐり、花沢
忍
●内的光を求めて(心に浮かんだ「幻」の素材である内的な光をそのまま表出した作家たち) 横尾龍彦、藤白尊、上田葉介、黒須伸雄、橋本倫、石塚雅子
●神・仏・魔を描く(既存の神仏に依拠した作品のほか、独自のビジョンによって感得した神仏の姿。得体のしれない「魔」も表現される)円空、橋本平八、藤井達吉、長安右衛門、
若林奮、秦テルヲ、牧如鳩、佐藤渓、平野杏子、石野守一、真島直子、佐々
木誠、三一樹、吉原航平、黒川弘毅
●越境者たち(既存の世界を越境して常人の別の視点から「世界」を改めて見直した作家たち) 宮沢賢治、岡本太郎、草間彌生、横尾忠則、舟越直木、OJUN、中園孔二、
馬場まり子、赤木仁
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